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自分の設立した会社だからって自分の名前を社名にするのはどうかと思うんだけど「メルセデス」とか「ランボルギーニ」とかそういうちょっとかっこいいのも人の名前なんだよね。だから白人コンプレックスっていうのは多かれ少なかれ誰もが持ってるんだよ!突然怒らないでくださいよまじびびったー。今まじびびった
今日の極力勘弁してくださいさん(31歳 営業職)
「ふんふん、あっ。はい。はい…あー、そうですよね。」
「はい、あ、じゃあそのように伝えておくから、あ、おきますので」
「いや今違うんで、すいません」
「あ!極力勘弁してください!極力勘弁してください!!」
僕は天然パーマなんですけど、そのことが人生の足を引っ張っていると感じ続けています。
モジャモジャ剛毛タイプの天パとは違うので、そっち方面との軋轢はまた生じてしまうと思うんですけども、それでも「右手社会における左利き」、「車社会の地域で無免許」などと並んで僕の人生の難易度を上げている項目の一つに数えて差し支えないはずです。
ちなみに僕の古くからの友人にモジャモジャ剛毛タイプの天然パーマというか天然アフロがいますが、かつての彼の通り名はご多分に漏れず「ちん毛」でした。
そこまでではないにしても、我々天然パーマーが日々どんな思いを抱えて生きているか、それをストレートの皆さんに少しでもご理解頂けたらと思い、折に触れてお話をさせてもらっています。
勿論と言いますか髪に関することなので、その機会は美容師さんに対してが最も多いです。
まず初めて行った美容室では、最初に必ず「天然パーマである」という旨を伝えます。
それは何故か。
僕ら天パは通常、というかありのままの状態でいると髪が縮んでいます。縮んでいるから天パなのです。
その髪は水分を吸収しやすく、また含むと膨張し、うねり、すぐに戸籍を持ったでかいキノコが誕生します。
それをなんとか誤魔化し、逸らし、あらゆる手段を講じて世間に出ても法に触れない見た目にしているわけです。
なので僕らは水気に対して一切の抵抗力を持ちません。
もしもこの世界がファンタジーに包まれ、剣と魔法が実力の全てだったら、いくら幼少時から剣の修行に励み、戦場でいくつもの武勲を挙げたとしても水属性の魔法で一撃です。即死します。効果はばつぐんだ。
そういう訳で、美容師さんの第一印象(頭の中に構築されるカットの段取り)とシャンプー後の僕の姿は全く違うものになります。厚化粧+お泊りデートの図式です。
僕が「天然パーマである」ということを伝えると、美容師さんの10人中10人はこう言います。
「いやー、天パっていうかくせ毛みたいな感じですよね。ストレートの人はむしろこのぐらいのパーマをわざわざあてに来るんですよ。まとまりやすいし、逆にうらやましいですよ。」と。
しかしこれに対する僕の言葉を聞いて、そのうちの大体10人ぐらいは顔を引きつらせて黙ります。
「じゃあ代わりたいですか?」
つまりそういうことなんです。
ストレートの人がパーマをかけるのは「気まぐれ」であり「オシャレの一環」であるのに対し、天パがストレートパーマや縮毛矯正を行うのは「生きていく為」に「仮初めの姿」を手に入れたいからなんです。
ここに決定的な差があります。
今度機会があればパーマをあてている人とストレートパーマをあてている人を見比べてみて下さい。
パーマをあてている人は「あー早く終わらないかなー、この後どうしよっかな。とりあえずこのゆるふわ☆パーマでカレシとご飯でも食べにいこ」みたいな顔で雑誌を読んでいますが、ストレートパーマをあてている人は
クーデターにより政府上層部が全て軍の息のかかった人物になったことに危機感を覚え、同志と共に地下で小規模なレジスタンス活動を展開していたが、やがて圧倒的物量の前に仲間の基地が次々と潰されていく。そんな時、結成当初から一緒に戦ってきたメンバーのマルセルから途切れ途切れに一通の通信が入った。
「俺達は…もう…お終いだ…裏切り…のが…い…だ」
「マルセル?なんだって!?どうしたって言うんだ」
「エレー…エレーヌに…気をつけろ…」
「まさか、エレーヌは俺達の仲間じゃないか!今までだってあんなに」
「…されていたんだ…気づい……に…俺達はずっと騙されてい…だ」
「そんな、そんなことが…信じられない」
「こ……はも…時間…題だ…じきにそっちにも政府軍…ろう、そうなれば…ぐに」
「くそ!俺達の国は俺達のものだ。誇り高く戦ってみせよう。頑張れマルセル!すぐにそっちへ向かう!」
「…ろ…」
「何だって?」
「お前は…逃げるんだ…」
「何を言ってるんだ…?俺達は自由の為に最後の一人になっても戦い続ける!そう誓い合っただろう」
「…きて…生き…お前は生き延びて…伝え…だ」
「いくらお前の頼みでもそれは聞けない。どんな時でも一緒だったじゃないか、マルセル。」
「こんな……もう繰り返されては…い……伝え…くれ…界に…えて…れ」
「しかし」
「……頼む。頼むよ、兄弟。お前は生きるんだ。」
「マルセル…」
「いつか、た、一、晩中飲み、あ、」ブ、ブツン
「マルセル?マルセル!」
「大変です!もうすぐそこまで政府軍が来ています!ここは危険です!」
「マルセルが…」
「さあ早く、こっちです!ここから脱出して下さい!」
「だめだ、俺も皆と戦う」
「ねえ聞いてください。我々は死ぬ為に戦ってるんじゃない。本当に生きる為です。マルセルさんの言う通りだ。あなたが生きていれば、俺達はまだ敗けちゃいない。あなたは知っている。この国は良くない方向へ進んでいると。あなたは知っている。俺達がどんなに精一杯生きたかを。あなたがそれを知っている限り、俺達はまだ終わっちゃいないんです。」
「ジェレミー、でも俺は…」
「さあ、行って下さい。これが片付いたらジャンの店を貸し切りにしておきますよ」
「また…会えるよな?」
「ええ、そりゃもう。嫌っていうほどね。」
「ジャンの店をちゃんと押さえておいてくれよ」
「あいつ、きっとまた俺達が店の酒を飲み尽くしてるのを見てうんざりした顔をしますよ。」
それは昔の話だ。すぐ傍にある、昔の話。
手を伸ばせば届きそうな、皆の笑顔。俺達は本当によく笑ってた。
ジェレミー、フランツ、アントン、ジル、アンリ…マルセル。そしてエレーヌ…
俺の手は、届かない。
それは本当に昔の話なんだ。
あの後俺は追っ手から逃れ、反政府組織、つまり俺達レジスタンスを援助していた国へ亡命した。
彼らが正義感や人道の面からそんなことをしていたわけじゃないのはもちろん知っていたが、その時の俺にはそうする以外の方法がなかった。
しばらくは身を潜め、ただただ仲間の連絡を待った。そして二度目の冬が来た。
その間、亡命した旧政府の関係者は次々と死体になっていった。
「皆は無事だろうか、生きているだろうか」 そう考えながら過ごしていた俺は、ある日酒場でマルセルに似た男を見つけた。結局、よく見ると違ったのだが。
それで思い出したんだ。あいつはよく十字架の悪口を言ってた。
「待ってたってだめさ。祈ったって意味はねえ。そうだろ?神様が俺に10フランをくれたら、俺はその金を何に使えばいいんだ?そいつでここの支払いをしたら、彼は俺に雷を落とすんだ」
ジャンはカトリックだから怒っていたけど、他の者は笑ってた。
待ってたってだめさ。マルセルはそう言っていた。
祖国は国際的非難を受け、軍人達はあせり始めているようだった。俺のような国内の邪魔者は排除できても、多国からの武力介入には対抗できないだろう。
だから俺は「国際的非難」に加わった。伝える為だ。俺達が望んでいた当たり前のこと、俺達がされてきたこと、そして俺達がどう戦ったのかを。
俺の運動はうまくいき、支援してくれる運動家の数も段々と増えていった。告発書を執筆し、たまには演説をして訴えかけた。
うまくいきすぎたのだ。結果的に俺の見通しは甘かった。あまりにも甘かった。
当初、彼らはとても忙しそうに見えた。国内に残るレジスタンスを捜し出したり、国外に逃れた要人を二度と口の利けない体にしたり、都合の悪い書類を灰にしたりと。
だがそれも一段落して、もっと小さな存在にも目を向ける暇ができたようだ。
ある時に俺は白昼銃撃を受け、そして奇跡的に一命を取りとめた。
退院した時にはもう、どこにも安全な場所は無くなっていた。
俺は逃げて、逃げて、逃げ続け、生き延びた。逃げながらも執筆をやめなかった。
伝えなくてはならない。繰り返してはならない。生きなくてはならない。約束を果たさなければならない。
逃亡中、何人もの同胞が俺に尋ねた。
「なぜあなたは整形手術をして顔や名前を変えないのですか?亡命者は皆そうしているし、そうすれば追っ手を撒けるかもしれないのに。」と。
俺は何も答えなかった。その問いに答えれば、彼らはきっと笑うだろう。
ばかばかしい、と呆れるかもしれない。つまりそんな風に穢されたくなかったのだ。
銃撃を受けてから7年、俺は活動をしながら逃げ続けていた。今では殺意を孕んだ足音を聞き分けることだって出来る。
一人でいたが、孤独では無かった。果たされるべき約束があったからだ。
だが一通のメッセージが来て、全ての事情が変わった。
「ユーグ・ベルを覚えているか?」
その手紙はそう書き出されていた。
ユーグ…あの少年のことはよく覚えている。
俺達は政府軍の車両を奪い、それを使って奇襲をかけ、小さな野営地を一つ潰した。その晩俺達はあまりに矮小な、しかし偉大な勝利を祝っていた。ユーグは俺達のテーブルにつかつかとやってきて、そして跪いた。
「僕をレジスタンスに入れてくれませんか」
俺達はそれを聞いて笑った。ひどく酔っていたし、何よりその少年がまだせいぜい12~13歳に見えたからだ。
冗談に取らないほうがどうかしているだろう。
ひとしきりの揶揄を浴びせた。アンリには同じぐらいの息子がいたので、説教じみたことも言っていた。
ユーグはそれを黙って聞いていて、そして言ったのだ。
「じゃあ僕は何歳から生きることができるんだろう」
俺達の誰もが、笑うことをやめていた。そして口々に、無礼を詫びた。
ジェレミーは何故か目に涙を浮かべて、少年の頭を両手でしっかりと掴んだ。
「お前はもう戦える」
「僕はもう戦えるんだ」
そうしてユーグは俺達の仲間になった。アンリやマルセルは最後まで少年を思い留まらせようとしていたが、彼が孤児だと聞いてしぶしぶ握手を交わした。
ユーグは俺達の隠れ家に住み込み、よく働いた。危険なことはさせられないので、主に雑用だが。
それに彼の作るスープは最高に美味かった。どんな一流レストランでも、あのスープの味には敵わない。
仲間はみんなそのスープの秘訣を知りたがったが、ユーグは決してそれを漏らさなかった。
「僕だけがこれを作れる間は、お払い箱にされないからね」
俺達はユーグが好きだった。ジェレミーなんかはユーグのスープの為に酒場に顔を見せなくなり、ジャンに心配されたほどだ。
初めは各地で戦果を上げていた同胞達も、鎮圧の為の大規模な政府軍が投入されると、続々と倒れていった。
隠れ家や支部も残酷な拷問や投薬によって発見されていき、連絡のつかない場所も多くなった。
そして俺達は、ユーグを説得して安全な街へ逃がした。ユーグの説得には、4日かかった。
「ユーグ・ベルを覚えているか?」と、その手紙には書かれていた。
「彼は人心を惑わし、扇動した罪で逮捕された。公正な取調べの結果、君の知り合いだと分かった。全ては君次第だ。もしも君があの下らない本を書き続け、我々を侮辱し続けるつもりなら、彼は二度と空の下に立つ事はない。また、君が我々を煩わせても同じことになる。」
俺の活動は衰えず、かくまってくれる運動家も多い。
彼らはもう以前のように、俺を犯人のわからない他殺体には出来ないと踏んだのだろう。その証拠に彼らは俺の居場所を知っていて、メッセージを寄越したのだ。
選択肢はない。
俺が抵抗運動を辞める理由を誰かに漏らせば、それは更に波紋を広げて、そしてユーグは殺されるだろう。俺はユーグの命と引き換えに同情を集め、悲劇の主役としてまた民衆の前に立つのだ。
俺は翌日にそこを出て、別の名前を名乗った。整形手術を受けて、顔を変えた。
俺という人間は、この世から消えた。誰も俺のことを知らないし、俺の名を聞いたこともない。
惜しくはないさ。俺達は皆、ユーグが好きだった。彼の作るスープは最高なんだ。
ただいつか俺がジャンの店に立ち寄った時、待ってくれているはずの仲間達は、もう誰も俺に気づかないだろう。
約束は果たされない。
マルセル、ジェレミー。もう約束は、果たされないんだ。
最後に俺は、トレードマークだったウェーブ・ヘアーにストレートパーマをあてた。
みたいな何とも言えない目をしていますよ。
天然パーマとストレートの差がご理解頂けましたか?
例えば「ストレートの人だってパーマかけるんだから同じことじゃん」とか言ってる人を僕らが大きめのシュレッダーにかけて大根おろしですりおろした上でミキサーにかけてホッケの開きにかけようとして「あ、間違えた。これ大根じゃないや」って言って流しにドボドボ捨てても許されるとは思いませんか?
僕は思いませんね。
まだまだ言い足りないけど疲れたのでこの話はまた今度しませんか?
僕はしませんね。
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